CO2排出量の計算方法をやさしく解説②
- CO2を算定したい
- 脱炭素って何からはじめるの?
- CO2の見える化をしたい
2022/11/16
【概要】
この記事では自社のCO2排出量計算に必要なエネルギー種別毎排出係数の確認方法についての情報と、そもそもなぜ電気を使用するとCO2が出るのか?を詳しく解説いたします。
CO2排出量計算の考え方 ステップ①購入しているエネルギー種別を確認
パート1までは基礎的な考え方について説明しました。
パート2ではより詳細な部分についてご紹介します。
まずはじめに購入しているエネルギー種別を確認するプロセスです。
大きく、電気、燃料ガス、燃料油、固定燃料という4つの括りで、自分たちが何を買っているのか把握していきます。電気においては、高圧電気、そして場合によって事務所だけ別の電気契約になっている時は、低圧電気の契約になっているパターンもあります。契約毎に電気の明細を集めていきます。
燃料ガスにおいては、代表的なものは都市ガス、LPG、LNG、場合によっては副生ガスを買っているかもしれません。燃料ガスにおいてよく誤解があるのは、酸素や窒素やアルゴン、例えばレーザー加工機のあらゆる生産設備で、産業ガスを使う場面であるかもしれませんが、ここでCO2が発生する、すなわち何かを燃やしてその過程でCO2が出ることに着目すると、酸素は燃料の燃焼には関わりません。ということで、いったんは計上不要なものとして整理をお願いします。
そして次に燃料油として、A重油やB・C重油、灯油、軽油といった明細を集めます。ここではよく「潤滑油の量なのか」という質問を頂きます。潤滑油も同じように燃やしているわけではなく、すなわちCO2が出ないことで、計上は不要です。
そして次に固形燃料としまして、原料炭、燃料炭、コークスについて明細を集めます。
ここで注意点です。こちらではざっくりと計上すべきものとしてご提案していますが、算定目的によってどこまで計上する必要があるのかは、変わることがございます。例えば、取引先から求められている場合にどういうものが必要なのかなど、目的をしっかり確認して、どこまで明細を集めるのか?確認していただければ、と考えております。
CO2排出量計算の考え方 ステップ②エネルギー種別ごとのCO2排出係数を確認(環境省ホームページ)
ここまでで、エネルギーの種別がわかりました。そして次に、それぞれのCO2排出係数を確認するプロセスになります。
1,検索エンジンで『CO2排出係数』と検索
検索エンジンで「CO2排出係数」と検索いただくと、環境省のページが出てきます。記事をご覧の皆様ぜひパソコンやスマホなどで、一緒に検索しながら見てみると理解が深まりますので、ぜひやってみてください。
「CO2排出係数」と検索すると、環境省のホームページが出てきます。
2,環境省HPを確認 算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧
こちらをクリックすると、こちらのページに推移します。
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc
算定方法・排出係数一覧というページです。
その下には■算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧 があります。
その下には■電気事業者別排出係数一覧 という大きく2つの枠があります。
上には燃料に関する排出係数の情報が網羅されています。
下には電気に関するCO2排出係数の情報が網羅されています。
まずは燃料に関する係数を確認していきます。
上の■算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/calc/itiran_2020_rev.pdf をクリックしてください。
(参考1)燃料の使用に関する排出係数
この表の読み方ですが、例えば都市ガスについて例を見てみます。
値が2.23と書かれています。この単位がtCO2/1,000Nm3という単位です。すなわち1,000立法メートルの都市ガスを使うと、2.23tのCO2が出ます、という見方になります。
以上は都市ガスの数値の見方です。
また、油関連も見てみますと、例えばA重油をご覧ください。2.71という数字がございます。単位はtCO2/kl ですので、キロリットル、すなわち1,000リットル使うと、2.71tのCO2が出ます、という見方になります。
それぞれの会社様で使用しているエネルギーの係数を抽出して、メモをお願いします。
この表で燃料に関する数字はすべて取れます。
- 電気事業者別排出係数一覧
次に電気に関する係数です。
下段に記載されている■電気事業者別排出係数一覧をご覧ください。
こちらにはPDFがたくさん並んでいますが、今回算定したい年度のPDFを選択してクリックしてください。ここでは例えば令和3年提出用の表を仮に見てみます。
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/calc/r04_coefficient_rev2.pdf
PDFをクリックしますと、こちらもたくさんのページにわたって表が並んでいます。
この中で自分たちの購入している電気の契約先を探し、その値を読み取っていきます。
例えば(株)エネットさんと電気の契約をしていると想定して考えてみます。
表の上部に基礎排出係数と調整後排出係数という言葉があります。この数字をどうやって読み解くのか、考え方にもよりますが、例えばCO2算定の考え方の中にマーケット基準がございます。それを採用する場合には、調整後排出係数の欄を見ることになります。
そしてメニューがA〜Hまであります。これは(株)エネットさんのホームページを見ると、メニューAの契約について具体的な名称が載っています。契約の名称を確認して、自分たちはメニューAなのか、メニューEなのか把握して、数字を確認してください。
例えば、メニューEで契約しているとするならば、0.000349 という数字があります。
これは単位がkWhあたりの t になりますので、1kWhを使うと、0.000349のCO2が出ます。こうして該当する数字を読み取っていきます。
こちらをご覧いただくとおわかりのとおり、電力会社によって数字にばらつきがあります。電力会社の中でも例えば0.4の数字があれば、会社によっては0.000825など、会社によってバラつきがあります。この仕組みついてご紹介します。
4,なぜ電気を使用するとCO2が出るのか?
それぞれの電力会社でどのような形で電気を供給しているのかが変わります。
これは先ほどの数字のばらつきに関わっています。
例えば、火力発電メインで発電をしている会社においては、CO2をたくさん出す石炭、石油、LNG、こういった燃料を使って電気を供給している点から、調整後排出係数が高くなりやすいです。
一方で再生可能エネルギーベースをたくさん使っている電気事業者においては、例えば太陽光や風力など発電の過程でCO2が出ませんから、調整後排出係数が低くなる傾向です。
すなわち自社のCO2を低く表現するためには、再生可能エネルギーで電気を供給している所をいかに選んでいくかが、重要なポイントになります。
パート3に続く
この記事を書いた人
田崎剛史
株式会社エネルギーソリューションジャパン 代表取締役 エネルギー管理士
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