
中小企業はこれからはじめる中小企業版SBT③
- CO2を算定したい
- 脱炭素って何からはじめるの?
- SBT認証支援
- 外部認証を取得したい
2025/03/04
※最終更新2025年3月
パート2では、「中小企業版SBT」の詳しい内容と具体的な目標設定の考え方・プロセスについてお伝えしました。パート3では申請する場合の手続きと、よく挙げられる課題について解説します。
中小企業版SBTセミナー
7.申請の手続き
「中小企業版SBT」に申請する際の流れは、以下の通りです。
・エネルギーデータ準備
・エネルギーデータ集計
・集計値確認
・基準年/目標水準設定
・申請①申込(事業所概要の登録)
・SBTi審査①(事業所要件の確認)
・申請②申請書提出(基準年のCO2排出量・目標などの提出)
・SBTi審査②(目標内容の確認)
・承認/検証料送金
・SBTi承認
・SBTiのWebサイトにある取得企業一覧に掲載
それぞれのステップで具体的にどういったことをするのかを説明します。
- エネルギーデータ準備/エネルギーデータ集計/集計値確認
エネルギー使用量のデータ準備については、まず電気やガスの請求書を用意します。そこに使用量の記載があるので、1月から12月分をスコープ1・スコープ2に分けて集計していきます。1年ごとに集計して、CO2がどれだけ排出されているのかを算定します。
- 基準年/目標水準設定
集計したデータをもとにそれぞれの年のCO2排出量を並べていくと、どの年度をベースにすべきかがわかります。以下の表の例を見ると、2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響でCO2排出量が減っています。この2年間のどちらかを基準に選んでしまうと、目標が非常に下がって達成の難易度が上がるため、2019年をベースにした目標設定が必要だと言えます。
- 申請①申込(事業所概要の登録)
申請はオンラインで実施します。最初に自社のアカウントを作成し、マイページを作成します。その後、会社情報などを登録し、申請の申し込みを行います。
- SBTi審査①(事業所要件の確認)
SBTiサービスによって、申請した企業が、中小企業版SBT認定を取得する要件を満たしているか審査を行います。SBTiから質問が来る場合があります。やり取りはすべて英語で行われます。この審査を通るまでには、標準的に10営業日ほどかかります。
- 申請②申請書提出(基準年のCO2排出量・目標などの提出)
基準年のCO2排出量や目標などを提出します。
- SBTi審査②(目標内容の確認)
SBTiサービスによって、目標などの妥当性を確認するためのデューデリジェンスが行われます。
- 承認/申請料送金
申請後、問題がなければ申請内容が承認されます。その後、1~2週間程度で検証料を請求するメールが届きます。検証料の請求書受領後、すみやかに1,250ドルを海外送金で払い込みします。入金が確認されると、SBT認証企業として登録された旨のメールが届きます。
- SBTiのWebサイトにある取得企業一覧に掲載
ここまで手続きが完了すると、SBTiのホームページでSBT認証企業として掲載されます。
この申請の流れでよく聞かれる疑問点についてまとめました。
Q:「中小企業版SBT」で高い目標を掲げて達成できなかった場合、ペナルティがあるのか?
A:ペナルティはありません。高い目標を掲げてそれに取り組む姿勢が重要です。
Q:取り組みにおいて、クレジット(排出権)の取得による削減は算定に含まれるか?
A:クレジットだけを買う場合は算入できません。ただし、SBT削減枠を超えた社会貢献の取り組みとしての公表は認められています。
Q:SBTiのロゴをウェブサイトなどで使用できるか?
A:SBTiのロゴは取得企業であれば使用する許可が与えられます。承認後にSBTiから送付されてくるロゴマークを使用規定を守って出版物、ウェブサイトなどで使うことができます。
Q:CO2排出量と対策の進捗状況を毎年1回報告する必要があるのか?
A:SBTiに報告する必要はありません。自社のホームページなどで「これだけ削減した」と公開をするだけでOKです。
8.登録における課題
実際に当社が「中小企業版SBT」の登録支援をする中で、お客様がよく挙げられる課題は3つあります。
1)CO2排出量の算定
算定対象の使用量の確認方法がわからないとか、単位が合っているのか、算定した結果が妥当かどうかという部分で迷われる方は非常に多いです。電気と燃料だけであれば算定は比較的簡単ですが、製造業の工業プロセスでCO2排出をしているかもしれない場合は、少し複雑になるため細かな調査が必要です。
2)英語でのコミュニケーション
SBTiの窓口は海外にあるため、メールのやりとりはすべて英語です。重要なものからお知らせメールまですべて英語で届くことから、たくさん送られてくるメールの中でどれが重要なのか判断に迷うという声があります。
3)目標の妥当性
2022年7月15日以降は、WB(ウェルビロウ)1.5℃、毎年4.2パーセント削減のみの選択肢となっています。ただ、目標を掲げたものの2030年までに目標倒れになるんじゃないかとか、そんな高い目標を掲げて大丈夫なのか、という懸念は課題として挙げられるでしょう。
9.ESJができること
当社では「中小企業版SBT」の申請について、お客様の課題解決をはじめとした総合的な支援体制を整えています。CO2算定に関しては、これまで環境省の支援機関として400ほどの事業所のお手伝いをしてきました。この400事業所に関しては、環境省へ4年間の報告義務がありますので、毎年400事業所分のCO2排出量を算定して国に報告した実績があります。
コミュニケーションについては、すべて当社のサポートセンターで担っています。企業と国との橋渡しをしながら年度ごとのCO2排出量の報告をお手伝いし、また「中小企業版SBT」で必要となる英語のやりとりにも精通しています。
目標設定の面では、当社はこれまで400事業所分の脱炭素診断を実施しています。毎年4.2パーセントのCO2を削減するには何をすればいいのか迷う企業もたくさんいらっしゃいますが、当社にはCO2の算定から削減ポテンシャルの抽出、そして実行に至るまでをお手伝いしてきたノウハウや経験があります。それらを活かして、「中小企業版SBT」の申請をするお客様がスムーズに認証を受け、その後の活動につなげるサポートをしていますので、ぜひご活用ください。
↓中小企業版SBT申し込みはこちら↓
SBT申請サポート 中小企業のSBTドットコム (es-jpn.com)
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