CO2排出量の計算方法をやさしく解説③
- CO2を算定したい
- 脱炭素って何からはじめるの?
- CO2の見える化をしたい
2022/11/16
【概要】
この記事では自社のCO2排出量計算にあたって、実際のデータ収集方法、演習シートを使用した排出量計算について詳しく解説いたします。
エネルギー使用量のデータ収集方法 ①ガス
パート3では各エネルギーのデータ収集方法及び演習問題を使って実際にCO2を排出するところまでご紹介いたします。
まずはエネルギー使用量のデータの収集方法についてご説明いたします。
こちらではガスに関する数字の読み取り方を一緒に確認していきます。
都市ガスの請求書の事例を下記に抜粋して掲載しています。
この請求明細を見ると、いろんな数値が並んでいます。どこの数字を見ればいいのか?よくお問い合わせを頂きます。この表の場合は電気もそうですが、
一貫して〈ご使用量〉と書いてある言葉を探します。
ガスにおいては、「m3(立法メートル)」という数字に着目をお願いします。
すると、この表においては赤い点線で書いてある所は、〈ご使用量〉で665.00 m3 という数字があります。また並行して確認いただきたいのが、どの期間で使われたものなのか。そこと併せて確認をお願いします。
ここにおいては、4月6日〜5月10日において665 m3を使ったという明細になっています。なので、ここでは665を4月、あるいは5月に使った分として、計上します。
エネルギー使用量のデータ収集方法 ②燃料油
次に燃料油に関する明細を見ていきます。
ここでは重油を代表した請求書の例を見ていきます。
重油においては、L:リットル(合計)という単位に注目してください。
ここではLSA重油に「LS」という商品名が入っていますが、A重油を上2つで確認で きます。
そのほかよく油関連の明細では、例えば廃油に関する費用や、あとはその他のロー リーで納品したり、場合によっては軽油がガソリンなど、いろんな品目が乱雑になっ ているケースがあります。
今回におきましては、LSA重油という欄に着目して見ていきます。
この月であれば、2回納入されている履歴があります。
4月3日、23日にそれぞれA重油が8,000Lずつ納入されています。
以上のことから4月の月間としては16,000L納入実績がある、と確認できます。
エネルギー使用量のデータ収集方法 ③電気
最後に電気の明細の事例です。
電気においては、使用量を表すのがkWh(キロワットアワー)という単位になります。 kWhが書いてある欄について着目していきます。
この上に記した表では、赤い点線の所が93,887kWhと書いてあります。
これが当該月に使った電力量になります。この場合であれば計算期間という所を見ます と、12月1日〜31日です。つまり12月の1ヶ月でこれだけの電気量を使ったと記録して ください。
よくご質問いただくのは、kWの数字に着目してしまった、という場合があります。
kWというとすなわちデマンドという言葉がよく使われますが、その月の最大電力を表し ています。電力の使用量とはまた別の指標だとご留意ください。
よく右上にkWの数字が並んでいます。それが月別に書いてあるので、12月は199kW 使ったと見られるケースがあります。kW(デマンド)ではなく、kWhの数字を読み取る ことに注意してください。
演習シートの使い方 演習シートでCO2を計算してみましょう!
ここまでで計算に必要なデータが揃いました。排出係数と使用量です。
これらを添付の演習シートを使いながら、ぜひ一度算定してみてください。
添付の演習シートの上にこのような表があります。
使い方をご紹介しますと、緑の欄が選択形式です。
黄色の欄には、先ほど調べた数字を入力します。最後にCO2排出量がアウトプットされ ます。
まず手順①として最初に確認したエネルギーの種別を選択します。
ここでは電力を選択します。電力においては、電力会社も具体的に選択できるようにし ています。あとはプロパンがあればプロパンガス、A重油であればA重油を選択すれば、
先ほど確認したCO2排出係数が実はここで選択すれば、自動入力されるようになってい ます。
例えば、東京電力エナジーパートナーさんから購入されていれば、0.46、LPGであれば 3という数字が自動入力されるようになっています。
続いて手順②として先ほど確認した月別のエネルギー使用量を手入力します。
例えば、LPGは4月に0.5、単位が1,000 m3(立法メートル)になります。例えば、立法メートルの表記であれば、千で割って、1,000 m3 の単位に直して入力します。
入力しますと、最後に手順③のCO2の排出量が出てきます。
この場合であれば電力であれば106.9 t のCO2が出ていて、LPGにおいては16.2 t 出てい ます。これを積み上げると、合計で一番右に書いている211 t のCO2排出量がアウトプットされます。
お手元のEXCEL表の中には、この下にグラフをアウトプットしています。
月別の推移や内訳もありますので、ぜひどこが多くて少ないのか、課題の抽出にあたる ヒントにご利用ください。この表上では、例えば電気が約50%、LPGが約8%とわかる ようにしていますので、数字と合わせてご活用ください。
まとめ
最後にCO2計算方法のパートについてまとめます。
CO2排出計算に必要な排出係数や、エネルギー使用量のデータ収集方法を、環境省の ホームページや、エネルギー使用の明細のサンプルを通じて確認しました。ぜひ演習 シートを活用して、実際にまず自社のCO2を一度、全体感を掴んでもらえれば幸いで す。
以上を持ちまして、自社のCO2排出量が分かる計算方法についての説明を終わります。
設備別のCO2算定についても、今後記事に掲載しますので乞うご期待ください。
この記事を書いた人
田崎剛史
株式会社エネルギーソリューションジャパン 代表取締役 エネルギー管理士
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