中小企業はこれからはじめる中小企業版SBT①
- CO2を算定したい
- 脱炭素って何からはじめるの?
- SBT認証支援
- 外部認証を取得したい
- 先進的な技術、製品、制度情報を知りたい
- その他
- #ロードマップ
2022/11/15
この記事では、先日弊社でオンライン開催した「中小企業版SBTセミナー」より、「中小企業版SBTとは何か」について解説します。
これまで弊社では、大手企業を中心にTCFDやSBTなどの脱炭素化の取り組みに関するセミナーを開催してきました。脱炭素化は多くの企業で活発になりつつあるものの、中小企業のガイドラインがないという課題があります。そのために脱炭素化のきっかけが作れない中小企業のお客様が非常に多いことから、今回「中小企業版SBT」がどういうものなのかを解説します。3つの記事に分けて詳しくお伝えしますので、ぜひしっかりと内容を理解し、活用へつなげてください。
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中小企業版SBTセミナー
セミナーのゴール
本セミナーのゴールは、以下の2つを設定しています。
- 中小企業の方に、「中小企業版SBT」への登録申請の可否を判断するための材料を提供します
- 大手企業・金融機関の方に、取引先の中小企業に対して『こんな制度がある』と紹介する際に参考となる情報を提供します
1.中小企業版SBTをお勧めしたい方
本セミナーの対象者は、以下の通りです。
- 大手企業でTCFDやSBTに取り組んでいる方
→サプライチェーンに対して方針をもとにアクションを促す、または中小企業へこの制度について伝える際に役立ちます
- 金融機関の方
→融資のきっかけなどにご活用いただけます
- 中小企業の皆様
→脱炭素化の取り組みを実施することで取引先にどうアピールできるのか、また実施のハードルはどうなのかをご確認いただけます
2.中小企業版SBT取得メリット
中小企業版SBTの認証を取ることで得られるメリットは3つです。
1)受注増のきっかけ
「中小企業版SBT」を取得したから受注が必ず増えるわけではありませんが、受注増につなげる材料になります。例えば、カーボンニュートラルに積極的な取引先へのPRが挙げられます。取引先から『カーボンニュートラルに取り組んでください』と要請があった場合、「中小企業版SBT」を取得することで積極的に取り組む姿勢をアピールできます。また、今扱っている製品やサービスについても、カーボンニュートラルに配慮されているかを考慮するきっかけとして非常に有効です。
2)資金調達
今は地方銀行を中心に、SDGsやESG投資といった金利の優遇サービスがたくさん出ています。それらを活用する上で、「中小企業版SBT」を取っているというのは一つのPRになります。また、環境省などから様々な補助事業が出ており、カーボンニュートラルに取り組む企業には補助金が優先して配分される傾向があります。このときに「中小企業版SBT」があると、評価ポイントが上がるメリットがあります。
3)イメージアップ
SBTは国際認証制度ですので、従業員や地域社会に向けたイメージアップにつながります。
3.脱炭素経営とSBT
パリ協定をきっかけとして、近年は脱炭素経営が叫ばれるようになりました。企業が気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)や脱炭素に向けた目標設定(SBT、RE100)などを通じて、脱炭素経に取り組む動きが進展しています。SBTで高い目標を掲げて省エネを推進しながら、再生エネルギーの導入も促進した取り組みについてTCFDを通じて情報開示をする、というのが主な流れです。
TCFDについては、ここ1年ほどで賛同する企業は非常に増えています。というのは、2022年4月に東証再編で、市場区分が「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに分かれました。最上位のプライム市場に残るためには、TCFDと同等の取り組みが必要となったため、大手企業を中心にTCFDに賛同する企業が増えているのです。この流れに乗るには、まずは自社がどれだけカーボンニュートラルに取り組んでいくのかを対外的に公表することから始めなければなりません。
TCFDやSBTの日本での取り組みは、世界的に見てもかなり積極的に進んでいます。SBTで言えば、2020年11月の国内の認定企業数はアメリカに次いで2番目です。TCFDでは、賛同企業数は世界で1位になっています。
SBTを取得している日本企業は、全体で160社あります。建設業、食料品、電気機器メーカーなどが様々な企業が認証を受けていますが、日本全体で160社は少ないと思う方もいるかもしれません。
しかし、これは法人単位ではなく資本を投入しているグループ単位での取り組みです。企業のグループ会社がすべて含まれると考えれば、かなり大きな規模です。中小企業に関しても、この1年でSBT取得企業は非常に増えている印象です。
SBTについて改めて説明すると、パリ協定が求める「世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの」という水準に整合した目標のことです。5年から15年先を目安として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことと定義されています。
気温上昇は抑えられないものではありますが、その上昇幅を2℃以下、あわよくば1.5℃以下に抑えたいという意味合いですね。SBTはScience Based Targetsの頭文字で、科学的な基準に沿った目標を立てましょうということです。
これをよりわかりやすく言うと、「企業もしくはグループ単位で、2030年までにCO2排出量をどのくらい削減するか」を国際的な機関により審査され、認定を受けて登録されるのがSBTです。
この中でどこが科学的なのかと言うと、何パーセントのCO2を削減するかという数値の部分です。これは自社独自で定めるのではなく、「気温上昇を2℃以下に抑えるためには、CO2を何パーセント削減しないといけない」ということを科学的な根拠に基づいて決めます。
気温上昇を2℃以下に抑えるためには、どれぐらいCO2削減をしないといけないかについては、次のグラフに記載しています。
基準年に温室効果ガスを排出している量と、気温上昇を2℃以下に抑える場合、そして1.5℃以下に抑える場合の傾きを示しています。2℃以下に抑えるには、2.5パーセント以上のCO2を毎年削減していく必要があります。また、1.5℃以下に抑える場合は、毎年4.2パーセントの削減が必要です。
これまでは2.5パーセントが必須条件で、4.2パーセントが推奨という形になっていました。しかし2022年7月15日以降は、2.5パーセントではもう気温上昇が抑えられないということで、2.5パーセントを選ぶことができなくなっています。つまり、今後は4.2パーセント削減の基準を選ぶ一択しかないということです。
ここまでは、「中小企業版SBT」に関する基本的な情報と、取得するメリットについてお伝えしました。パート2では「中小企業版SBT」について、より具体的にご紹介します。
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