はじめの一歩は「脱炭素化診断」から ③
- 脱炭素って何からはじめるの?
- 脱炭素診断
2022/11/13
パート2では、「脱炭素診断」によって何がわかるのか、また実際の診断作業の流れについて具体的にお伝えしました。パート3では診断結果をもとにエネルギー削減を実施する際にポイントとなる考え方、診断結果の活用事例についてお伝えします。
脱炭素診断セミナー
9.対策の考え方
脱炭素診断の対策の考え方は、従来の省エネ診断とは異なる部分が多くあります。次の表では、横軸にエネルギーの消費量、縦軸にCO2の原単位(1KWあたり何トンのCO2を出すのか)を示しています。つまり、エネルギー消費量にCO2原単位を掛けた面積がCO2排出量です。CO2排出量を削減するということは、この面積を小さくすることだと考えればわかりやすいでしょう。
CO2排出量を減らすための考え方は3つあります。
①エネルギー使用量を削減する
従来の省エネと同じく、照明をLEDに替える、空調を更新する、生産設備を統合するといった対策を指します。
②CO2排出強度を低減する
これは電源の脱炭素化を指します。太陽光発電を導入している場合の排出係数はほぼゼロですが、石炭や石油をもとに発電している場合は、CO2原単位は大きくなります。そのため、今後はクリーンな電力を選んでいくことが重要です。
③エネルギーを転換する
ガスで動かす空調機を電気式のものに替える、電気自動車を導入するなど、電化を進めることでCO2をぐっと抑えることができます。
対策の一例として、環境省のCO2削減Naviで公開されている情報をご紹介します。
これ以外にもたくさんの方法がありますが、お客様の事業所でどれが最も効果的なのか、脱炭素診断を通してピックアップしていきます。自社内で対策案を抽出していくのは現実的には難しい作業ですので、診断という客観的な情報を見て方向性を決めることが大事です。
10.方向性を定める
対策案がある程度出そろった段階で、今後の方向性を決めていきます。そのために大事なのは、脱炭素診断の結果報告会を開催することです。というのは、報告書をお渡しするだけでは、内容が難しいこともあってその後の活動になかなか結びつかない現状があるからです。
このとき出席するメンバーもかなり重要で、担当者と上長の出席だけでは会社としての横断的な取り組みにつながっていきません。そのため、生産・品質・設備管理部門の方と、役員の方にはぜひ参加いただきたいと思います。2030年以降の取り組みに関しては、製品の作り方を根本から見直す必要がありますから、開発部門の方も出席いただけるといいですね。
報告会の目的は「今後の作戦を立てること」です。ですから報告会の流れとしては、脱炭素診断を行った背景とCO2削減に取り組まなければいけない理由の共有から始まります。これまで取り組みに参加していなかった部門の協力も今後必要になるため、共通理解を持ってもらう段階です。次に、診断報告書を使ってCO2排出量と現状の自社の課題、そして対策案を説明します。それが終わったら、作戦タイムとして「この結果を受けてどういう進め方をしたいか」を意見交換し、クロージングという流れになります。
11.診断結果の活用
脱酸素診断をした後の活用方法としては、いくつか選択肢があります。
(1)設備投資に関する補助事業を活用する
(2)SBTとロードマップ策定をする
(3)CO2の見える化をする
それぞれ詳しく解説します。
(1)設備投資に関する補助事業を活用する
診断結果をもとに対策の一覧表が出てくると、かなり投資が必要だということがわかります。その際に、国のカーボンニュートラルに関する支援事業を活用します。経済産業省や環境省が投資額の一部を補助してくれる制度がありますので、それを活用しながら実行していくと良いでしょう。診断結果の報告書には、補助事業に応募するためのCO2削減率などの要件も一通り盛り込まれていますので、この点も有効活用できます。
(2)SBTとロードマップ策定をする
報告書によってある程度の削減のポテンシャルが見込めるとわかれば、SBTに登録申請する選択肢もあります。
(3)CO2の見える化をする
脱炭素診断では電力の使用状況を調査しますが、2週間の短期的なものですので、それを継続した管理用ツールとして取り入れ、電力の見える化を図っていくケースもあります。
12.脱炭素診断後の取組事例
これまで当社では、製造業を中心に約400事業所の診断をしてきました。その結果を受けて多くのお客様がCO2削減に取り組まれています。削減のポテンシャルは、2015年頃のデータでは平均20パーセント程度となっています。脱炭素診断をきっかけに、様々な方法でCO2削減を実現する支援をしてきました。
まとめ
脱炭素診断では、自社の状況を客観的かつ定量的に把握できます。診断結果をもとにロードマップ策定をすることで、今後の進め方が明確になるというメリットがあります。
当社はお客様の個別のケースに合わせた診断と支援を提供しています。診断の実績はこれまで約400社と、豊富な実績を積んでいる会社ですので、様々な角度からのご提案を得意としています。
経験豊富な有資格者の診断員が現場にお伺いすることはもちろん、生産技術系の出身者も多いため、生産設備の部分にまで入り込んだ診断ができるという強みがあります。簡易診断と詳細診断の2種類をご用意し、お客様のニーズに合ったものをお選びいただけますので、お気軽にご相談ください。
脱炭素活動の取り組みの第一歩として、ぜひ脱炭素診断を活用いただければ幸いです。
↓脱炭素診断申し込みはこちらから↓
脱炭素化の進め方 エネルギー診断 – エネルギー診断・ロードマップ策定・補助金申請を支援するESJ (es-jpn.com)
この記事を書いた人
田崎剛史
株式会社エネルギーソリューションジャパン 代表取締役 エネルギー管理士
CATEGORYカテゴリー
-
業種でさがす
-
設備でさがす
-
お悩みでさがす
-
導入事例でさがす